険しい山々に囲まれたスイスには数多くの峠道があります。鉄道では周りきれない山奥の村や、峠越えのルートを走るバス旅は、スイス旅行のスパイスになるでしょう。
ここでは、3つの峠を越える、夏季限定の人気ルートをご紹介します。
ポストバス
黄色い車体とホルンのマークが可愛らしいポストバス。 もともと郵便物を運んでいたため、そのままポストバスと呼ばれています。 今では乗客が主体の定期路線バスとして運行していますが、時折、運転手が郵便物を運ぶ姿も目にします。
スステン峠 Susten-pass
スステン峠から望むシュタイン氷河とシュタイン湖
スタートはルツェルン・インターラーケン特急ルートにあるマイリンゲン駅。
車窓には切り立った山々や氷河が、右に左にと連続するダイナミックな景色が続きます。ベテラン運転手の巧みなハンドルさばきで、急カーブでは独特のホーンを鳴らしながら、ポストバスはスステン峠を越えて山間の駅ゲッシェネンへと向かいます。
フルカ峠 Furka-pass
フルカ峠を走るポストバス。遠くにグリムゼル峠が見えます
ゲッシェネンから支線に乗り継いで1駅。古い宿場町で氷河特急ルートの主要駅アンデルマットから、ポストバスはフルカ峠を目指します。フルカ峠はヨーロッパの分水嶺となるところで、ここを境に、水は北海と地中海に注ぐことになります。
再びヘアピン・カーブの連続でフルカ峠を越えると、ローヌ氷河を望むホテル・ベルヴェデーレに到着です。
フルカ峠の中腹、ローヌ氷河を望むホテル・ベルヴェデーレ
川のように流れるローヌ氷河
氷河特急は、かつてこのルートを通っていたため、「氷河」と付けられましたが、現在は長いトンネルのある新線を抜けるルートに変更されてしまいました。 今では、文字どおりに氷河を眺められるのは、このバスルートのみというわけです。
グリムゼル峠 Grimsel-pass
グリムゼル峠で小休止するポストバス
フルカ峠が宿場町オーバーワルトへ下る途中から北上する峠道です。美しい湿原帯から、一気にヘアピン・カーブの道が続くようになり、再び分水嶺へと向かいます。 ここから2つの美しい山上湖と、山あいの小さな村々を眺めながら、マイリンゲンへ到着します。
グリムゼル峠。遠くにフルカ峠を望みます